IR情報を正しく理解するために

株主や投資家から資金を調達するための企業活動の一つとしてIRがあります。IRとはインベスター・リレーションズの略で、投資家との関係を意味します。企業が財務諸表や損益計算書などの情報を開示し現在までの経営状況を投資家や株主に知らせます。それとともにこれから進むべき経営のあり方や将来の目標を示すことで企業への理解を深めてもらい信頼を構築するのです。その歴史は1970年代~1980年代。日本にはまだ投資家向け広報活動の概念が乏しい時代にニューヨーク証券取引所に上場した日本企業に始まります。国内で盛んになったのは1990年代以降。近頃は企業が即時性と公益性に強みをもつWEB上に投資家向けサイトを設け、より多くの人に自社を知ってもらおうと努めています。

投資家向け広報と一般てきな広報活動の違いとは

一般的な広報は投資家向け広報よりも馴染みある用語「PR」と表されます。PRはパブリック・リレーションズの略語ですから、公衆との関係を構築する活動といえます。元々は行政活動の一つだったのですが、企業もまた社会的役割を担う存在でなければならないという考えからPR活動は民間へも浸透していきました。PRは企業理念や事業内容、実際の活動を一般の方々に広く公表することで、当該企業を知ってもらいよりよい社会を公衆と協働して創っていくことを目的としています。さらに企業からの情報発信だけではなく、公衆の意見を取り込み企業と社会の在り方を考え直す機会にもなっています。PRが公衆を対象にした企業活動であるのに対し、IRは株主・投資家向けの企業活動です。企業の理念や社会貢献の側面よりも、経営状況や業績を具体的に明示して、投資意欲を維持してもらうための活動といえます。

投資家向け広報活動の役割とこれからの在り方

株主や投資家に向けの情報にも最近はPRの要素が多く含まれるようになりました。投資家向け広報活動の方法は企業説明会や株主・投資家の意見を聞く小会議、出版物の発行、WEBサイトの運営などがあります。投資家向け広報にとって重要なのは即時性と公益性と言われています。そういった意味ではWEBサイトでの逐次情報開示は従来の株主・投資家のみならず新たな個人投資家にとっても有効な方法といえるでしょう。投資家向け広報は企業の将来を示すことで株主・投資家に安心を与える役割もあります。企業の将来は経営理念を除外して成り立つものではありません。つまり企業の将来を示す中で自ずと企業と社会、企業と公衆の関係が示されるのです。これはこれまでPR活動が担っていた役割でした。しかしその境界が曖昧になりつつあります。現に一般広報部門と投資家向け広報部門を分けて設置している企業は少ないのです。その一方で求められる情報は多岐に、しかも双方向性がなければなりません。企業と投資家また企業と社会の関係をいかに両立させるかが投資家向け広報活動に今問われています。